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AI動画生成 最新動向 2026.08

Industry Report · 2026年8月15日時点

AI動画生成の最新動向
品質・サービス・価格の現在地

2026年前半、AI動画生成は「試して遊ぶ技術」から「納品物を作る生産設備」へ移行しました。尺は8秒から30秒へ、音声は標準装備に、1秒単価は約1/10に。同時に、最大手のひとつが市場から撤退しました。

2025 — 5〜8秒 / 無音 2026 — 15〜30秒 / ネイティブ音声 $0.50 / 秒 $0.05 / 秒

為替 1 USD ≒ 159円で換算。本資料の数値はすべて出典URLを併記しています。一次情報が確認できなかった項目は不確実と明記し、推測での補完は行っていません。

Executive Summary

2026年前半に起きた5つの構造変化

OpenAI Sora
終了
アプリ 2026/4/26 停止済
API 2026/9/24 停止(残り約6週間)
単発生成の最大尺
30秒
2025年は5〜8秒
Seedance 2.5 / Wan 3.0
1秒単価の下落(Google比較)
−90%
Veo 2 $0.50(無音)
→ Veo 3.1 Lite $0.05(音声付き)
ネイティブ音声
標準化
セリフ・BGM・環境音を映像と同時生成。無音モデルは実質レガシー
品質トップ3のELO差
6〜19pt
Gemini Omni Flash / MiniMax H3 / Seedance 2.0 が僅差

日本の実務者にとって重要な3点

① 発注側のハードルはすでに崩れた

2026年8月9日、地上波で全編生成AIのCMが放送されました(テレビ朝日 × サントリー「GREEN DA・KA・RA」30秒)。「AIで作ったものを世に出してよいか」という問いは、実務上すでに決着しています。

② MiniMax H3 は日本がオープンウェイトの許諾不要地域

除外地域は米国・EU・英国・韓国日本は含まれません。米欧企業が使えないモデルを日本企業はローカル配備・商用利用できるという、珍しく日本有利な構図です。

③ ツールの寿命は短い

Soraは提供開始から約1年半で終了しました。特定サービスに全面依存したパイプライン設計は、それ自体が事業継続リスクです。中間成果物(脚本・キャラクターシート・絵コンテ)をツール非依存の形式で保持する設計が必須になります。

Timeline

2025年9月 → 2026年8月の12か月

モデル・技術 撤退・法的異議 日本の動き

Quality

品質の序列 — 上位3モデルは僅差、首位は8か月で入れ替わる

Artificial Analysis Video Arena — Text-to-Video
ELOレーティング(2026年8月時点)。上位3モデルの差はわずか6〜19ポイント。
出典:Artificial Analysis — Text-to-Video Leaderboard。Seedance は 2.0(2.5 はリリース直後のため未掲載)。
陳腐化の速度

Runway Gen-4.5 は2025年12月のローンチ時に ELO 1,247 で首位でした。2026年8月現在、トップ12圏外です。約8か月で追い抜かれたという事実が、この領域の陳腐化速度を示しています。「どのモデルが最強か」で意思決定するのではなく、「どのモデルがどの工程に向くか」で組み立てるべきです。

Image-to-Video(音声付きモデル)
T2V とは順位が入れ替わる。工程ごとに最適モデルが異なることの証左。
出典:Artificial Analysis — Image-to-Video Leaderboard。Video Editing 部門では MiniMax H3 が単独1位。

Models

主役の2モデル — Seedance 2.5 と MiniMax H3

Seedance 2.5

ByteDance · 2026年7月31日発表 / 8月7日 API公開
最大尺
30秒(シングルパス)+延長可
解像度
480p / 720p(API実測)
fps
24
音声
あり(32kHz ステレオ・追加課金なし)
参照入力
画像30+動画10+音声10=計50点
特筆
タイムスタンプ単位の局所リライト
OSS
なし
実勢単価
$0.473/秒(fal.ai 720p)

法務リスク 高 2.0系で Disney の排除通告、Paramount の侵害主張、MPA非難、米上院議員の停止要求。

MiniMax H3(Hailuo 3.0)

MiniMax · 2026年7月31日発表 / 8月3日 オープンウェイト公開
最大尺
4〜15秒(整数秒)
解像度
最大2K(2560×1440)/ローカルは768p
fps
24
音声
あり(32kHz ステレオ・日本語含む11言語
参照入力
画像9+動画3+音声3
特筆
動画編集で Arena 1位・音声クローン
OSS
あり(H3-Base・33B)
実勢単価
$0.13/秒(2K)/$0.08(768p)

日本は許諾不要地域 年商$20M未満は表示義務付きで商用可。生成物の権利はユーザーに帰属。

⚠ Seedance 2.5 の解像度は情報が食い違っている — 発注前に必ず確認

メーカー側マーケティングと実API仕様が乖離しています。Dreamina公式LPは「4K出力・60fps・ベータで最大180秒」と表示していますが、fal.ai の APIドキュメントは480p / 720p のみ、第三者による実ファイル検証30本はすべて 1280×720 でした。実測とAPI仕様が一致して720p上限を示しているため、ネイティブ生成は720pまで、4Kは後処理アップスケールの可能性が高いと判断するのが妥当です。1080p以上の納品には二次アップスケールが必須になります。

Seedance のバージョン変遷

最大尺と参照入力点数の推移
1.0(2025年6月)→ 2.0(2026年2月)→ 2.5(2026年7月)。14か月で尺は約4〜6倍、参照点数は4倍超に。
出典:TechNode / The Decoder / Wikipedia

その他の主要モデル

モデル最新版 / 時期最大尺解像度音声特徴
Gemini Omni Flash
T2V 1位
2026/6/30 API公開3〜10秒720pGeminiアプリで Veo に代わりデフォルトの動画バックエンドに。会話型編集。$0.10/秒
Veo 3.12026/1/13 更新8秒720p / 1080p / 4K参照画像3枚で一貫性維持。7秒ずつ最大20回のシーン延長(理論上約148秒)。生成物は2日で削除
Kling 3.02026/2/515秒1080p系・4Kモード○ 日本語対応マルチショット絵コンテ。累計6,000万クリエイター・3万社超
Wan 3.02026/8/10 ベータ30秒480p〜1080pPDF・PPT・Webページを直接入力(document-to-video)。omni-reference 20点。API専用
Runway Gen-4.52025/12/1不確認不確認不確認物理精度(重量・慣性・流体)。自社+他社モデルを束ねるプラットフォーム化。$0.12/秒
Vidu Q32026/4/1316秒1080p○ 5カテゴリ6種のシネマティックVFX。Alibaba Cloud統合。$0.07/秒
LTX-22026/1 フルOSS60秒超ネイティブ4K・50fps完全オープンソース(コード・ウェイト・ツール一式)
Luma Ray3.142026/1/26不確認1080p不確認Ray3比 生成4倍速・秒単価1/3。他社モデルも同一クレジットで提供
HiggsfieldCinema Studio 3.0ARR $500M(2026/6)。SNSマーケター特化。キャラ学習「Soul」
HedraCharacter-3トーキングアバター専業。ユーザー2,000万人超
誤情報に注意

Sora 3 は存在せず、Veo 4 も未発表です(これらを報じる記事はすべて憶測系ブログ)。Wan のオープンソース路線は 2.2 で停止しており、「Wan 2.7 はオープンソース」とする記事は Hugging Face を確認する限り誤りと思われます。LTX-2.5 も公式GitHubは LTX-2.3 止まりで、存在は確認できていません。

Price

1秒単価 — 最安と最高で13倍の開き

主要モデルの1秒あたりAPI単価(2026年8月)
すべて音声付きの構成。青が現行主力、赤系は終了予定または高価格帯。
出典:Vertex AI 料金 / Atlas Cloud / fal.ai / Runway API。Kling は $0.084〜0.168 のレンジ中央値。
最安(Veo 3.1 Lite 720p 音声付き)
$0.05
1秒あたり ≒ 約8円
1分の完成尺(単一テイクの場合)
約480円
最安モデル・音声込み
同 Seedance 2.5 720p(fal.ai)
約4,500円
1分あたり。約9.4倍
価格の下落 — Google の同系列モデルでの比較
音声が付き、品質が向上したうえで約90%の値下がり。
出典:Google Cloud Vertex AI 料金
⚠ Seedance 2.5 は「どこから買うか」で価格が4.9倍変わる

ByteDance公式は1秒あたりレートを未公表で、トークン課金のためプラットフォームごとに実効単価が大きく異なります。同じ30秒720p 1本が、Dreamina経由なら約464円、BytePlus API直で約1,104円、fal.ai経由で約2,261円です。必ず実測で確認してください。

価格は一方向には下がらない

Kling 2系は1.6系比で約3倍に値上げされました。「品質を上げると値上げし、廉価モデルを別ラインで出す」二層化が実態です。単価は年10〜20%下落を見込みつつ、事業計画は現行単価で保守的に置くのが安全です。

Trend

2025 → 2026 の質的変化(6軸)

20252026年8月
5〜8秒が標準単発15〜30秒(Seedance 2.5、Wan 3.0)。8秒はもはや「下限」
ネイティブ音声Veo 3 の目玉=差別化要素ほぼ全モデルで標準。MiniMax H3 はステレオまで到達
マルチショット一貫性実験段階Seedance 2.5 の参照50点、Wan 3.0 の omni-reference 20点、Kling 3.0 のマルチショット絵コンテ。「キャラ・製品・環境をカット跨ぎで固定する」が実務要件に
物理シミュレーション一般的な弱点Gen-4.5 が重量・慣性・流体で前進。ただし因果推論・オブジェクト永続性は未解決と Runway 自身が公表
リアルタイム生成研究段階Runway API にリアルタイムアバター(2クレジット/6秒)。インタラクティブ・ワールドモデルが独立カテゴリに
入力モダリティテキスト+画像文書→動画(Wan 3.0 が PDF・PPT・Web を直接入力)、会話型編集

最も本質的な変化:作業単位が変わった

2024年の作業単位は「プロンプト」でした。2026年8月の作業単位は、脚本ビート・ブランド参照・キャラクタールール・製品ビジュアル・サウンド演出・承認ステータスを束ねた「構造化されたシーンパッケージ」です。

novelty(目新しさ)ではなく、コントロールと権利管理が競争軸に移りました。これが後述する「Claude + MCP による制作パイプライン」が意味を持つ理由です。

周辺サービス — 音声・音楽・編集

サービス主力料金権利状況
ElevenLabsEleven v3(70+言語)/Flash v2.5(約75ms)/Eleven Music v2Starter $6・Creator $22・Pro $99・Scale $299ARR $500M超。Merlin / Kobalt とライセンス契約。Music は商用クリア済み
Sunov5.5(有料)/v4.5-all(無料)Pro $8・Premier $24Warner Music Group と2025年11月に和解+ライセンス契約。無料版は商用不可
Udio再ローンチ版UMG と2025年10月に和解。業界初のライセンス済みAI音楽PF。類似度連動ロイヤリティ
Adobe FireflyFirefly Video Model +パートナーモデル$9.99〜$199.99(Premium は動画無制限)商用安全(学習データがライセンス済み)を最大の売りにしている
DescriptAIコエディタ UnderlordHobbyist $16・Creator $24・Business $50全有料プランに動画生成を内蔵

Market

市場と、実際の採用状況

国内 動画広告市場の構成推移
全体の成長率(前年比122%)を大きく上回るのが縦型動画広告(156%)。2029年には縦型がスマホ向け動画広告の42.5%を占める予測。
出典:サイバーエージェント/デジタルインファクト調査(2026年3月9日発表)。単位:億円。2026年・2029年は予測値。
日本の総広告費 2025年
8.06兆円
前年比 105.1%(電通)
インターネット広告費の構成比
50.2%
初の過半数(4兆500億円)
動画制作サービス市場 2025年度
4,580億円
前年比108.1%(矢野経済研究所)
映画興行収入 2025年
2,744億円
過去最高・前年比132.6%(映連)
世界のAI動画生成市場:数字は「幅」として扱うこと

Grand View Research は 2025年 $788.5M → 2033年 $3,441.6M(CAGR 20.3%)、Fortune Business Insights は CAGR 18.8%、MarkNtel は 32.78%、Market.us(広義)は 36.20% と、調査会社間で CAGR が 20.3%〜36.2% と大きく乖離しています。用途定義が異なるため単純比較はできません。単一の数字を鵜呑みにしないでください。

実際の採用状況 — もう実験ではない

Netflix(2026年Q2決算)
約300
タイトルで生成AIを使用。群衆・歴史的戦闘シーン等
Coca-Cola 2025年版クリスマスCM
70,000+
生成クリップ数/30日間・AIスペシャリスト5名。採用比率は約1:1000
『Dreams of Violets』生成費用
$2,000
Tribeca映画祭で上映された初の完全AI生成長編。監督談「CGIなら数百万ドル」
『Critterz』(OpenAI支援の長編アニメ)
9か月
3,000万ドル未満。従来の劇場アニメ長編は通常3年・1億ドル規模
デジタル動画広告における生成AIの採用率(IAB調査)
企業規模が小さいほど採用率が高いという逆転現象。予算のない発注者ほどAI制作を選ぶ。
出典:Marketing Dive — IAB調査。広告バイヤーの過半数が生成AIを利用中。

Coca-Cola の現場が語った思想

ポストプロダクションが新しいプリプロダクションである

推論モデルで問題を事前に計画・解決してからシーンをロックする。70,000本を生成して30秒に絞り込むという事実は、総コストを支配するのは「完成尺 × 本番単価」ではなく「総試行尺 × ドラフト単価」であることを示しています。

Japan

日本国内の法制度・業界動向

制度の現在地

項目状況
AI推進法2025年6月4日公布、2025年9月に全面施行推進型(EU AI Act のような規制型ではない)。罰則規定なし。内閣に AI戦略本部
人工知能基本計画(第Ⅱ期)2026年7月14日 閣議決定
AI事業者ガイドライン 第1.2版2026年3月31日、総務省・経産省が公表。①AIエージェントへの人間の監視要件をリスクレベル別に段階設計、②「AI利用者」も適用対象と明示、③透明性・説明責任の記述強化
著作権法30条の4 は改正されていない。文化庁「AIと著作権に関する考え方について」(令和6年3月15日)+「チェックリスト&ガイダンス」(令和6年7月31日)が引き続き実務基準

著作権の実務ポイント — 3層で理解する

LAYER 1
学習段階(30条の4)
原則許諾不要。ただし①享受目的の併存(特定作家の絵柄・特定俳優を狙い撃ちする追加学習)②有償データセットの無断複製 ③技術的措置の回避 は適用外
LAYER 2
生成・利用段階
侵害成立には類似性+依拠性の双方が必要。依拠性の立証要素に「既存著作物そのものをプロンプト入力」「作品タイトル等の固有名詞入力」が挙げられている
LAYER 3
AI生成物の著作物性
利用者の創作意図と創作的寄与の程度で判断。単なる機械的操作では著作物性が認められない可能性。米国著作権局も同方向
事業上の最重要リスク

IPライセンス事業は「著作物性が認められること」が前提です。プロンプト一発生成物は著作権が発生せず、そもそもライセンスの対象になりません。逆に言えば、創作的寄与を工程として設計し証跡化すること自体が参入障壁になります(面倒なので誰もやらないが、法的に不可欠)。

声・肖像の法整備が進行中 要ウォッチ

法務省「肖像、声等の無断利用による民事責任の在り方に関する検討会」が2026年4月24日に設置されました(座長:田村善之 東京大学大学院教授)。論点は、声がパブリシティ権で保護されるか/権利侵害の範囲/不正競争防止法による保護/権利譲渡・相続と損害賠償額。2026年夏を目途に指針をとりまとめる方針です。

日本俳優連合は2023年から「声の肖像権」確立を求めており、2025年11月14日には日俳連+伊藤忠商事+伊藤忠テクノソリューションズが公式音声DB「J-VOX-PRO(仮称)」でMOU締結。日本のAI音声は「無断学習は炎上・法的リスク/正規DB経由は合法ビジネス」への二極化が進行中で、正規ルート経由が事実上の要件になりつつあります。

放送・広告業界の受容

時期主体内容
2025/10/20サイバーエージェント「日本一のAI動画を追求するセンター」設立。看板商品「ブランド3億動画」は広告動画3本を300万円(通常は数千万円規模)、納期3か月→1.5〜2週間
2025/11/26日本民間放送連盟生成AIの開発・学習に関する声明。①無断学習禁止 ②酷似コンテンツの生成防止と削除 ③侵害申立てへの誠実対応
2026/1/7日本テレビ『TOKYO巫女忍者』で生成AIを本格活用。自社開発「AI Co-Creator」。AIが脚本と異なるラストを提案し採用された経緯が報じられた
2026/4/1NHKAI原則を公表。正確性・公平性・人権尊重を維持しつつ、著作権保護・生成物の透明性を重視
2026/4テレビ朝日「AIクリエイティブスタジオ」設立
2026/8/9テレビ朝日 × サントリー地上波初の全編生成AI CM 放送(GREEN DA・KA・RA 30秒)。制作はテレビ朝日AIクリエイティブスタジオ × AI model株式会社。使用モデル名・制作期間・コストは非公開
日本が国際的に動かした事例 — Sora 2 問題

2025年10月10日、日本政府(内閣府知的財産戦略推進事務局)がOpenAIに正式要請。10月28日にCODA が要望書を提出し、オプトアウト方式では権利侵害を防げないと主張。11月26日に民放連が声明。そして2026年3月27日、OpenAI が CODA に対し Sora 2 の提供終了を報告しました。CODA は他社の同種サービスは稼働継続中として、2026年度から経産省委託事業で生成AIサービスの包括調査を実施すると表明しています。

Operations

付録① — Claude × MCP による制作パイプライン(概要)

詳細は別紙「Claude × MCP AI映画制作パイプライン 運用仕様書 v1.0」を参照してください。ここでは全体像のみ示します。

システム構成

ORCHESTRATOR
Claude Code(Opus)
Workflow / Agent ツールで全体制御。状態は project 配下の JSON で管理
MCP · 動画生成
fal.ai 公式 MCP
Streamable HTTP。submit_job / check_job / get_job_result の非同期3段。Seedance 2.5・MiniMax H3・Veo 3.1 を同一IFで
MCP · 音声
ElevenLabs 公式 MCP
stdio。TTS・効果音・音楽。出力先を BASE_PATH で制御
MCP · ローカルGPU
ComfyUI MCP
MiniMax H3 のローカル配備+キャラLoRA。日本は許諾不要地域
NO MCP
Bash + ffmpeg
結合・カラコレ・整音。MCPの出力トークン上限とタイムアウトを回避
つまずくのはほぼここ — タイムアウト設定

Claude Code の HTTP MCP は初回応答60秒・アイドル5分がデフォルトです。動画生成の同期待ちは必ず失敗します。.mcp.json の各動画サーバーに "timeout": 1800000(30分)を設定してください。さらにサブエージェントからのMCP呼び出しは自動バックグラウンド化されないため、環境変数だけでは不足し、サーバー別 timeout の明示設定が必須です。

制作の9フェーズ

PHASE 0
企画・ログライン
人間が発意。ここをAIに委ねると以降の創作的寄与の主張が弱くなる
PHASE 1
脚本
1ショット最長8秒を基本単位に設計。ト書きはカメラで撮れる事実のみ
PHASE 2
キャラクター設計
canonical_prompt + 正面/横/背面/表情差分の最低7枚。一度確定したら変更しない
PHASE 3
絵コンテ・ショット分解
shots.json に camera / lighting / audio_intent / model を埋める
PHASE 4 ★
ドラフト生成(安価モデル)
最もコスト効果が高い工程。$0.03〜0.05/秒で全ショットを一度通し、ここで構成を固める(20〜30%は削れる)
PHASE 5
本番ショット生成
1ショット3テイク→人間が採否。結果URLは即座にDL(Veoは2日、kie.aiは14日で失効)
PHASE 6
音声・音楽
日本語作品は映像を無音生成→ElevenLabsで別録りを推奨(ネイティブ音声は生成後に修正できない
PHASE 7
整合性チェック
キャラ外見・照明の色温度・イマジナリーライン・小道具・尺のリズム
PHASE 8
編集・仕上げ
ffmpeg で結合・カラコレ・3系統ミックス・ラウドネス正規化
人間が主導 協働 AIが主導(人間が承認)
5分の短編1本あたりのコスト内訳(試算)
完成尺300秒=8秒ショット38本、本番は1ショット3テイク前提。長尺カット3本のみ Seedance 2.5 を使用。
単位:米ドル。生成単価は2026年8月時点の公表値による当方試算。Coca-Cola級の作り込み(採用比率1:100)にすると本番だけで約$4,560に膨らみます。テイク数が総コストを決めます。

キャラクター一貫性の担保 — 単一手法では長編は成立しない

手法内容強度コスト
参照画像Veo 3.1 は最大3枚、MiniMax H3 は画像9点、Seedance 2.5 は最大30枚基礎(必須)H3は6枚目以降 各$0.04
フレーム連結前ショットの最終フレームを次ショットの開始フレームに使う。Veo のシーン延長は7秒×最大20回
キャラ学習Higgsfield Soul/ComfyUI + LoRA(ローカル)最強GPU+学習時間
運用側の担保シード固定・canonical_prompt の文字列共有・生成後の整合性検査必須
実装上の要点

Claude のサブエージェントは親の会話履歴を継承しません。したがってキャラクター設定・スタイルガイド・参照画像パスは、Agentツールのプロンプト文字列に毎回明示的に埋め込む必要があります。これが一貫性維持における最大の実装上の落とし穴です。

Business

付録② — 事業化の骨格(オリジナル映画・IP制作/1〜3名・自己資金)

詳細は別紙「事業計画書 AI活用オリジナル映画・IP制作事業」を参照してください。

3か年 売上構成計画
受託は初期のキャッシュエンジン、目的はIP。自社IP売上比率 8% → 23% → 41% が実質的な目標。
単位:万円。1年目は1名、2年目2名、3年目3名。損益分岐点は会計ベースで月商約51万円。キャッシュベースの単月黒字(月商約59万円)は6か月目=2027年2月に到達する計画。
縦型ショートドラマ 8話パッケージ
80.6%
粗利率。売上120万円・直接原価23.3万円
人日あたり粗利(同案件)
5.4万円
投下18人日。制約は資金でなく時間
価格の裁定機会
1桁
実写ショートドラマ50〜100万円 vs AI制作3〜10万円
キャッシュの底(1年目)
▲172万
5か月目。自己資金300万円で吸収

事業設計上の3原則

PRINCIPLE 1
収益の入口は受託、目的はIP
AI動画のB2C広告収益で1〜3名の事業を支えた検証済み事例は見当たらない(確認できた個人事例は月約5万円)。加えて YouTube は2025年7月15日施行のポリシーで汎用的なAI生成コンテンツを収益化対象外に。プラットフォーム広告収益の一本足は成立しない
PRINCIPLE 2
「著作物性が認められる作り方」が参入障壁
企画→脚本→キャラ設計→絵コンテ→各テイクの採否判断(human_judgment)→編集判断。この証跡が、著作物性の主張とAI学習依拠性の否定の両方に効く
PRINCIPLE 3
ツールに賭けず、パイプラインとIPに賭ける
Sora が約1年半で終了した以上、特定サービスへの全面依存は事業継続リスク。中間成果物をツール非依存の JSON / Markdown で保持する

1〜3名・自己資金で現実的な補助金

制度上限時期要件・注意
小規模事業者持続化補助金(第20回)基本50万円(2/3)+特例で最大250万円2026年11月5日〜12月15日/採択2027年3月個人事業主・フリーランス可。相見積基準が50万円超に引下げ
文化庁 メディア芸術クリエイター育成支援事業創作支援最大500万円/発表支援100万円例年5〜6月(令和8年度は5/13〜6/2)法人格不要・おおむね40歳以下。注意 AI生成画像は「補助的参考資料」の位置づけを求める規定あり。全編AI作品は想定外
デジタル化・AI導入補助金2026要確認2026年3月30日〜GビズID必須
J-LOD / JLOX+系、日本映画製作支援事業1,000万〜2億円年度ごと映像制作法人・映画製作法人が要件。法人化後(3年目以降)に狙う

主要リスクと対策

リスク影響確率対策
AI生成物の著作物性が認められず、IPライセンスが成立しない致命的創作的寄与の工程設計+証跡化を初日から標準運用。顧問弁護士に年1回レビュー
主力生成サービスの突然終了(Sora前例)3系統以上(fal.ai / Google / ローカルComfyUI)を常時稼働
学習データ起因の侵害クレーム既存IPを想起させるプロンプトを禁止。納品前に類似性検索。リスクの高いモデルは限定使用
受託単価のさらなる下落企画・IP設計込みの上流に特化。オペレーション代行を受けない
声・肖像の法規制強化実在人物の声・容姿を使わない。契約書に同意・報酬・開示の3点を明記

Caveats

不確実・未確認事項(透明性のため明記)

項目状態
Seedance 2.5 の 4K / 180秒 / 60fpsDreamina公式LPのみが主張。API仕様・実測と矛盾。未検証
Seedance 2.5 の公式秒単価ByteDance未公表。プラットフォーム実効単価に $0.47〜$0.68/秒 の乖離
MiniMax H3 のウォーターマーク有無明確な一次情報なし
Sora 3 / Veo 4存在しない/未発表(憶測記事のみ)
Runway Gen-4.5 の最大尺・解像度・音声仕様公式明示情報を発見できず
Luma Ray3.14 の最大尺・音声対応未確認
LTX-2.5 の存在公式GitHubは LTX-2.3 止まり。不確実
Wan 2.7 のオープンソース性Hugging Face に本体ウェイトなし。おそらく誤り
Netflix の「コスト半減」報道一次情報未確認
TBS『VIVANT』続編/読売テレビ『サヨナラ港区』のAI活用業界メディアのみ、一次情報の裏付けなし
「日本のショートドラマ市場 2026年 約1,530億円」YH Research 由来の孫引き。一次情報を確認できず。本資料では採用せず
「内閣府がAI生成コンテンツ表示義務化ガイドライン案を公表」参照先URLが404。採用非推奨
Claude Code / Desktop の MCP Tasks 拡張実装状況公式 client matrix に Tasks の列自体がない。未確認(このため運用仕様書では独自 submit→poll で設計)

Sources

出典一覧

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